保健所と聞くと、昔からのイメージで動物の収容・処分のイメージがある方も多いかもしれません。

また、動物愛護センターという施設とは一体何が違うのかと疑問に思う方もいるでしょう。

そこで今回は保健所と動物愛護センターの違い、それぞれが行っていることをご紹介します!

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保健所と動物愛護センターのイメージって?

 

昔から保健所と言えば、
「街中を歩いている犬が連れて行かれた」
「殺処分を希望する飼い主さんが犬を連れて行ったらしいよ」
など、どちらかと言えば「犬の捕獲・殺処分」というマイナスのイメージを担ってきました。

日本の動物愛護・福祉の考え方や実施内容は、先進国と呼ばれる国々の中では遅れていると言われてきた歴史があり、そういった負の歴史の一端を抱えて、何とか改善しようと現場の職員が努力してきた場所でもあります!

しかし、皆さんが住む都道府県で、最近「動物愛護センター」という名称の施設ができたという場所もあるのではないでしょうか?

中には、動物愛護センターから愛犬を迎え入れたという飼い主さんもいるかもしれませんね!

そんな保健所と動物愛護センターでは、現在どのように犬に関する業務を行っているのでしょうか?

実は詳しく知らない2つの場所について、ぜひ愛犬のための知識として知っておきましょう!

保健所が行っていること

 

保健所は、厚生労働省が管轄する人の健康をサポートする業務を行っている場所です!

具体的に言うと、
● 感染症の対策
● 母子指導
● 食品衛生(飲食店の営業関連)
● 医療機関の監視
など、かなり幅広く行っています!

その中のごく1部分に獣医衛生分野があり、狂犬病まん延防止策として、飼い主がいない犬や街中をさまよっている犬がいれば、その捕獲・拘留を行うのです。

つまり、保健所では人の健康や暮らしを守ることが業務のメインで、犬に関わる業務はほんの少し

一時的な拘留や収容はできても、これまでの保健所へのイメージのような、処分設備が一緒に備わった場所ではないということなのです。

最近では、犬に関わる業務のほぼすべてを動物愛護センターに移している自治体もあるほどです!

動物愛護センターが行っていること

 

動物愛護センターは、すべての市町村にあるわけではなく、各都道府県の中核都市などに設置されている、
● 犬や猫などの動物の保護収容・返還・処分
● 保護犬・猫の譲渡活動
● 動物愛護や適正飼養の啓発活動(しつけ教室などを含む)
などを行う動物に特化した業務を行う施設です!

その名称は「動物愛護センター」という名前だけでなく、動物管理センターや動物愛護管理センターなど、自治体によってさまざま。

収容施設がない保健所で引き取られたわんちゃんたちの場合は、保護された後にこういったセンターにまとめて収容し、一時的なお世話・健康管理を行っている自治体がほとんどです!

元々、犬や猫の収容・処分にのみ特化していた施設を前身としていたり、新たに施設を開設したケースなど自治体によって設立までの経緯は異なりますが、一般的には動物愛護活動を中心に行い、時に収容動物の殺処分を実行しているのはこういったセンターなのです!

殺処分ゼロを実行する自治体も

 

しかし、自治体によっては動物愛護団体などと協力しつつ、殺処分ゼロを実行し、犬や猫の処分スペースを持たない動物愛護センターもあります!

アニドネ「神奈川県動物愛護センター 見学レポート」:
https://www.animaldonation.org/blog/facilities_report/9872/

 

つまり、動物愛護センターの名の通り、
「行き場のない犬や猫の新しい家を探す場所」
「動物の福祉や終生飼養を発信する場所」

として、活躍の場を広げているということですね!

ただし、動物愛護センターでの引き取りや保護からの譲渡活動は、あくまで飼い主がいない動物をメインとしており、身勝手な飼い主からの持ち込みによる引き取り・新たな飼い主さん探しをメインとして行う行う場所ではありません!

施設によっては、飼い主から持ち込まれた犬や猫は、原則として当日処分すると明示している場所もあります。

実際に処分するかどうかはともかく、それだけ飼い主さんからの引き取り依頼の問い合わせが多かったり、努力不足の点を指摘したくなるような事例が多いというのが実状なのです!

犬の殺処分の実際

 

数自体は減りつつありますが、日本ではいまだに収容された犬や猫の殺処分が行われています!

環境省の統計によると、平成30年度時点では犬が約7600頭、猫が約3万頭という数字となっています。

 

環境省統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

 

猫がなかなか減らないのは、地域によって野良猫の問題が改善できていなかったり、犬のように法律で捕獲することが定められていないために、自治体が保護収容することが100%できないためといった事情もあります!

犬の場合は、狂犬病予防法という法律により、うろうろしている子がいれば捕獲することが定められているため、街中では野犬が減りました!

しかし、いわゆる田舎の風景が多い地方や、猟犬の活用が多い地域では、放置された犬が山中の野犬となって繁殖した結果、人慣れしないために捕獲後殺処分されている実態もあります!

例えば、こんなにたくさんの収容犬たちが保健所にはあふれていることも!

そしてもちろん、飼い主さんから持ち込まれた動物たちが殺処分されるケースも少なくありません

「適正飼養」ってなに?

 

殺処分数を減らすためにも、各地方自治体では飼い主さんへ「適正飼養」を行うよう呼びかけています!

適正飼養とは、
● 飼育頭数の制限(住宅や収入に合った頭数を迎え入れる)
● 健康管理(伝染病予防、寄生虫予防、避妊・去勢手術など)
● 個体識別(マイクロチップや鑑札の装着)
● 社会化トレーニング(人の社会で生きていくためのマナー)
といったことを指し、飼い主さんとわんちゃんが、ご近所さんともトラブルなく生活していくための飼育方法です!

どこかで聞いたことがあるかもしれませんが、
「多頭飼育崩壊」
「(トラブルになるほどの)問題行動」(いわゆる無駄吠え、攻撃行動など)
といった言葉は、適正飼育ができていない、もしくはもう少し努力が必要な家庭で起こってしまっています。

「飼いきれない」状況になってしまうのは、適正飼養ができていないからと言っても過言ではありません!

自治体が行っている命を救うための活動とは

適正飼育ができず家庭崩壊・遺棄されたケース、もしくは街中で迷子になっているわんちゃんや野犬の収容があった時には、各自治体も命を救うための活動を可能な限り行っています

東京都では、動物愛護相談センターでの譲渡会の他、譲渡対象団体として登録されているボランティア団体の譲渡会情報も記載しています。

「ワンニャンとうきょう(譲渡と適正飼養に関する情報ページ)」:
https://wannyan.metro.tokyo.lg.jp/

 

譲渡会の参加方法や実際の様子はさまざまですが、宮崎市動物愛護センターでの譲渡会はこのような形で行われています!

 

滋賀県動物保護管理センターでの譲渡までの流れや、動物愛護センターの活動の様子はこちら

 

現場の獣医師を含めた職員さんたちは、好きでわんちゃんたちを殺処分しているわけではありません

あくまでペットを取り巻く環境の負の部分を肩代わりしてくれているに過ぎず、このことは私たち飼い主側も知っておかなければいけませんね。

「保健所は、ただ犬を殺すだけの場所ではない」裏側を描いた漫画に涙:
https://grapee.jp/688615

自分のもしもの時の対策も考えておこう!

殺処分ゼロを実行している自治体でも、実は譲渡しきれていない収容犬や猫で収容スペースがいっぱいになっていたり、周辺の動物愛護団体にめいっぱい協力してもらってやっとの現状もあります。

「もしも飼い主である自分に何かがあったら…」
そんないざという時の場面でも、動物愛護センターが引き取ってお世話してくれるわけではありません!

 

・新しい飼い主候補の検討(家族や親戚など)
・ペットのための遺言や遺産
・老犬ホームなど終生お預かりできる施設を探しておく

 

ワンニャンとうきょう「飼い続けるのが難しくなってしまったら」:
https://wannyan.metro.tokyo.lg.jp/konnan/

今そばにいる1頭の愛犬のお世話や行く末をどうするのか、何があっても愛犬が困ることがないように、わんちゃんたちが一生をまっとうできるための方法をぜひ一度は考えてみてくださいね。

 

 

 

以上、
「犬を飼っている人なら知っておきたい!動物愛護センターと保健所の違い!」でした!

本日もお読みいただきありがとうございました!