新型コロナウイルスの感染拡大に伴って広がった言葉の1つ「ソーシャルディスタンス」。

人の間では感染予防の目的で意識されていますが、果たして愛犬たちの距離感はどうすれば良いのでしょうか?

今回は、犬同士の距離感を保つ必要性について解説します!

ソーシャルディスタンスとは

 

ソーシャルディスタンスとは日本語に直訳すると「社会的距離」という言葉になり、

“ 相手に手は届きづらいが、容易に会話ができる距離のこと”(引用:Wikipedia)

という社会関係を指す意味としてこれまで使われてきました。

しかし、新型コロナウイルスが世界に広まった影響で、この社会的距離という言葉は「感染予防のために取るべきお互いの距離」という認識に変わり、今は医薬品や特殊な医療器具を使わなくても行うことができる個人の感染症対策として注目を集めています!

そんな1対1の距離感を大切にしなければならない瞬間は、愛犬が感染症にかかってしまった時にも訪れることになります!

新型コロナウイルスに関わらず、感染症にかかってしまった愛犬の看護を行う時や、そもそも感染症を予防したい時にはどれほどの距離感を保つべきなのかを、状況に合わせて知っておきましょう!

犬の感染症とは

犬に関わる感染症は、

犬同士(動物同士)でしか感染しないもの
人と犬(動物)の間で感染するもの

の2つに大きく分けることができます。

犬同士でしか感染しない病気には、混合ワクチンの中にも含まれるパルボやジステンパー、犬パラインフルエンザなどが有名です!

一方で、人と犬の間で感染する病気と言えば、狂犬病やレプトスピラ、皮膚糸状菌症(真菌症)や寄生虫感染など、どちらのパターンの感染症も数多くあり、なかなか覚えきれるものではありません!

今回の新型コロナウイルスで言えば、犬(動物)から人への感染は現段階では厳密には報告されていないものの、人から犬(動物)への感染はある病気として考えられています。

こういった感染症は、かかれば無症状では済まない病気も多く、可能な限り愛犬のためにも自分自身のためにも対策をしておきたいものですね!

感染症を予防するために必要なこと

愛犬と自分自身の健康を保ち、感染症にかからないように予防するためには、「衛生管理」「免疫力の確保」「予防医療の実施」、そして「適切な距離を保つ」ことが重要になってきます!

つまり、感染症にかからない体を作り、環境を整える意味として、犬でもソーシャルディスタンスは大切だということですね。

それではさっそく、飼い主さんにもできる愛犬との暮らしで行うべき感染症対策をチェックしてみましょう!

体と環境を清潔に保つ

 

細菌や真菌(いわゆるカビ)、ウイルスなどが増殖するのを防ぐには、体の表面と普段過ごすことが多い室内環境で繁殖しにくい環境を作り上げることがポイントです!

● 愛犬の体や自分の体を清潔に保つ
● こまめに掃除機を使った掃除や布類の洗濯を行う
● 環境中の除菌・消毒を定期的に行う
など、わんちゃんであれば月に1回程度のシャンプーで定期的に汚れや余分な皮脂を落とし、毎日のブラッシングで抜け毛やもつれを除去して、皮膚に湿気がこもらないようにすると良いですね!

また、空気の極端な乾燥は皮膚を傷めたり、ウイルスの増殖を加速させるため、冬場を中心に乾燥する季節は加湿を心がけて、湿度を40~50%程度に維持することも大切です!

十分な休息と栄養補給を忘れない

 

衛生管理にどれほど気をつけていても、細菌やウイルスなどを環境中から100%なくすことは不可能です。

大切なのは、たとえ体に入ってきたとしても体の免疫機能がしっかり働いて、敵と戦う力を残しておくこと!

そのためには、普段から栄養バランスの整った食事をしっかりと食べ、十分に休息をとって免疫力を維持しやすい生活を送ることが犬も人も必要です!

ストレスの多い生活は免疫力の低下にも大きくつながるため、愛犬にとっても飼い主さんにとっても楽しみとなる遊びや散歩をしっかりと行ったり、スキンシップで心の満足感を得られるような時間を確保するのもおすすめです!

ワクチン接種や寄生虫対策を行う

 

感染症の中には、すでにワクチンが開発されてあらかじめ予防できる病気もあります!

犬の場合、年に1回行うよう法律で義務付けられている「狂犬病予防ワクチン」と、複数種類の感染症の予防を兼ねた「混合ワクチン」が代表的ですね。

また、ノミ・マダニがもたらす影響は刺咬による痒みや吸血といった問題だけではなく、
・SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
・日本紅斑熱
・ライム病
・瓜実条虫(サナダムシ)
など、それらが媒介することで引き起こされる、現在でも感染者や死者数が話題になる人に感染してしまう病気・寄生虫症も多く含まれます!

厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について」

国立感染症研究所「人獣共通感染症」

獣医師によって処方される適切な予防薬(駆虫薬)を使ったノミ・マダニ対策を行い、自分自身と愛犬が周囲の自然や他の動物などからもらってしまうことを防ぐようにしましょう!

距離を空ける

 

感染症にかかった動物が身近にいる場合や、今回の新型コロナウイルスのように感染の拡大を予防するためには、

自分自身と愛犬との距離感
愛犬と他の人・動物との距離感

を保つことを心がけましょう!

現在の状況のように人の間での感染拡大が激しい病気の場合は特に、お世話をする飼い主さんがまずは元気でいられるように、人混みが多い場所を避けたり、散歩中の他の飼い主さんとの距離感を意識する必要があります!

人同士が距離を保つことができれば、基本的にお出かけ中の犬はリードによって飼い主さんの傍についた状態であることが普通なため、自然と犬同士も距離を開けることができます!

ドッグランなど犬同士が身近に接触する可能性がある場所は避けて、散歩中は2m以上の間隔を空けるなど、まずは飼い主さんが距離を取ることを優先しましょう!

状況が変わり、愛犬が感染症にかかっている状態で、それが人や同居犬に移ってしまう病気であったなら、

・同居動物と部屋を分けて完治するまでは完全に隔離する
・感染犬のお世話の後は手洗い・消毒をしっかり行ってから同居動物に触れる
・愛犬とは就寝場所を分けたりキス・顔舐め行動は避けるなど濃厚な接触を行わない

といった対策を取りつつ、動物病院で正しい治療を愛犬に受けさせてあげてください。

同居犬と仲の良い状態であれば距離を開けることは辛いことになりますが、ずっと身近で過ごすことで片方が治っても片方が感染していれば再度移し合うといった悪循環を招くことがあります!

一時的なことなので、感染症にかかっている間はお互いが過ごすスペースをわけることが重要です!

ちなみに、多頭飼育でも誰も感染症にかかっていない場合、過度に犬同士・犬と人同士の距離を保とうとすれば、「何で急に?」と犬には理解できず、ただただストレスになってしまうだけです!

感染隔離の場合を除き、やむを得ない状況でなければ室内ではいつも通りに過ごさせてあげることが大切です。

感染症には状況に合わせた適切な対策を!

 

感染症と1口に言っても、その感染力の強さや症状の出方は千差万別で、どんな消毒方法が有効かも大きく変化します。

あるウイルスには有効でも、同じ対策をとっているのに別のウイルス感染を引き起こしてしまったというケースに陥ることは少なくありません!

どんな菌やウイルス、寄生虫を排除したいのか目的に応じて対策を練ることが重要であり、むやみにすべての方法を試そうとしても、飼い主さんも愛犬も疲れてしまうだけです。

今回の新型コロナウイルスのように、飼い主さんの感染が1番懸念される感染症では、まずは人同士の距離感を大切にして感染を避け、愛犬との暮らしを送ることを大前提にしましょう!

これは1頭だけと暮らしている人でも、多くの犬と暮らしている人でも同じことです。

愛犬と自分自身の健康と生活を守るために、状況に応じた感染症対策を行ってみてくださいね。

 

 

 

以上、
「犬にもソーシャルディスタンスって必要?多頭飼いの場合はどうする?」でした!

本日もお読みいただきありがとうございました!