歩く、走る、立つ、座る、伏せる・・・
いつどんな時でも「足」は私たちの愛犬にとって、ふだんの暮らしに欠かせない大切なものです!
でも時にはそんな大切な足に異常が現れることが!
どんな時に足の異常が起こりうるのでしょうか?
実は、意外な原因が多かったのです!

Contents

足の異常ってどんなもの?

「足の異常」と一口に言っても、その原因はさまざまです!

飼い主さんが見つけやすい足の異常の代表格は、「歩き方が変」な時!

けれど、歩き方が変な時もどのように変なのか、実はいろいろな分け方ができるのです!

動物病院の獣医さんは、ふつうの状態では現れない異常な歩き方のことを「跛行(はこう)」と呼び、病気の診断のためにどんな歩き方をしているのかしっかりと観察しています。

・地面には着けるが足を挙げるようにして歩く
・足を地面に着けたまま引きずるようにして歩く
・足を地面にはまったく着けずに挙げたまま歩く

こういった異常を、「月に何度か」「週に何度か」「1日に1回」「常に」などの頻度や、痛みの有無、日常の生活で「歩く」「走る」「立つ」「座る」「伏せる」といった動きに影響が出ているかどうかも一緒に確認して、診断のための情報収集をしているのです!

歩き方が変だなと感じる時には、たいてい「痛み」を感じている時がほとんど!

人でも歩き方に異変が出るレベルの状態では、ふだんの生活が辛いですよね。

何か変だなと思ったら、愛犬のためにできる限り早く原因の追究と治療をしてあげる必要があります!

 

足の異常が現れる病気

それでは、先ほどお話しした「跛行」が現れるのはどんな時でしょう?

歩き方がいつもとは違う状況になる病気や原因は実にさまざまです!

1.ケガや付着物が原因の体の表面的なもの
2.骨や関節、神経などが原因の体の内部からのもの

足の病気は大きく分けて、「外から見てわかるもの」「外から見てもわからないもの」かになります!

この2つそれぞれではどんな病気があるのか見てみましょう!

 

外から見てわかる足の異常…原因と症状とは?

1.外傷

ふだんの暮らしで圧倒的に起こりやすいのが何気ないケガ

夏の暑い時期のお散歩中に熱いアスファルトでやけどをしたり、伸びた爪をひっかけて折れてしまったり。
皮膚にできた切り傷・擦り傷や、ケンカの時の噛み傷が悪化した時にも歩き方に異変が起こることも!

「何か歩き方が変だな…?」と思った時には、まずはどこかケガをしていないか確かめてみる必要があります!

皮膚表面や爪の先から出血している、傷の周囲が腫れている、膿んでいる、皮膚に赤みがある、かさぶたがあるといった症状があれば、動物病院でしっかりみてもらいましょう!

ちょっとした傷だし…と放っておくと、化膿してしまい痛みや治療期間が長引いて、動物にも飼い主さんにも負担になってしまいます!

2.できもの

足の皮膚表面に腫瘍などのできものがあると、できる場所によってはできものが大きくなるにつれて歩きにくくなったり、歩いていると違和感を感じて足をかばうように歩いたりすることがあります!

大きくなって体の別の場所と擦り合わさり、出血したりできものが破れてしまうことも!

気づきにくいのが内股や、肉球の間など!

お散歩帰りに足を拭くついでに…といったように、ふだんから愛犬の体の隅々まで触ることを意識してあげましょう!

3.付着物

歩き方に異常が出ると、病気かケガか…と焦ってしまうものですが、時にはどちらでもないことも時にはあります!
外をお散歩していると、実は地面にはいろいろなものが落ちています!

「歩き方がおかしい!」と動物病院に来院する子の足をよく見てみると、足の裏にガムがくっついていたり、くっつき虫(ひっつき虫)と一般的に呼ばれる植物が付いてしまったせいで、「とれないー!!」と足を振ったり、歩きにくそうにしているワンちゃんが来院することも!

これくらいであれば、原因を除去して「何ともなくて良かったね!」で終われますね!

外から見てもわからない足の異常…原因と症状とは?

外から見てわかるものとは違い、骨・筋肉・靭帯・腱・神経など内部に異常がある時は、動物病院でレントゲンやCTなどの画像検査、整形学的身体検査などが病気の診断のために必要になります!

治療法も場合によっては手術などの大掛かりなものが必要になることも!

犬に多い足に異常が出る代表的な病気はいくつかありますので、順番に見てみましょう!

1. 骨折

骨の細い小型犬や、スポーツを行う犬で多いのが骨折です!

ベッド・ソファー・飼い主さんが抱っこしていた腕の中など、高い所から落下したり、ドアを閉める時に挟んでしまった、愛犬と一緒にスポーツを楽しんでいたら勢い余ってなど、いろいろな状況で起こりえます。

足を地面に着けることができない、痛がって鳴き叫ぶ、歩かずにうずくまっている、足が変な方向に曲がっているといった時には骨折が疑われ、手術が必要になる場合も多いのですぐに動物病院へ向かいましょう!

2. ねんざ・打撲

骨折まではしていなくても、跛行でよく来院するのがねんざ打撲

フローリングですべってこけた、落下した時に足をひねった、硬いものにぶつけたなど、特にふだん元気いっぱいではしゃぐ子に多いケガです!

日本では小型犬が飼育されていることが多いので、足元をうろうろしているのに気づかず、飼い主さんがうっかり踏んづけてしまった!なんて例も。

地面に足は着けるけどひょこひょこと挙げて歩く、触ると痛がる、じっとして元気がないといった症状があれば、動物病院で骨に異常がないかを確認してもらったうえで、安静に過ごさせてあげましょう

3. 膝蓋骨脱臼

膝関節の上にのる膝蓋骨(しつがいこつ)という骨が内側や外側にずれ落ちて脱臼してしまいやすい膝蓋骨脱臼という病気!

落下などの強い衝撃が原因で急に起こることもありますが、日本でよく飼育されている小型犬(特にトイ・プードル)では、膝関節の溝が生まれつき浅いために上に乗る膝蓋骨も簡単にずれてしまうといったことも多くあります!

膝蓋骨がずれた時に足を挙げて歩く・走る、スキップのような歩き方をする、ずれて痛みが出た時にキャン!と鳴く、足を曲げたままうまく伸ばせないなどの症状がありますが、脱臼することが頻繁で犬が慣れてきてしまうと、痛みや跛行を見せない子もいます。

慢性的な膝蓋骨脱臼は、酷くなるにつれ骨の変形が重度になり、足を曲げたままうずくまるような姿勢で歩いたり、ほとんど足を地面に着けることができなくなったりするため、進行しないように足への負担を減らすサポートをしてあげることが大切です!

4. 股関節形成不全

足の異常は股関節からくるものもあります!

骨盤のくぼみと太ももの骨がうまくかみ合わさっていると股関節はスムーズに動きますが、ここが生まれつき、もしくは幼い頃の成長する道のりの中でじょうずにかみ合わない状態になってしまう病気を股関節形成不全と呼んでいます!

くぼみと骨がかみ合わないと、脱臼しやすくなったり、かみ合わない骨と骨がこすれあって痛みが出てしまいます!

ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーなど大型犬や、それよりもっと大きい超大型犬では小型犬に比べて体格が大きく、股関節への負荷がかかりやすく、足の異常として表面化することが多いのです!

お尻を左右に大きく振って歩く、足を投げ出すように横座りする、昇り降りを嫌がる、立つ・座るのに時間がかかるなどの症状には要注意です!

5. レッグ・ペルテス

対して、小型犬に多い股関節の病気と言えばレッグ・ペルテス(大腿骨頭壊死)です!

骨盤のくぼみにはまる部分である、太ももの骨である大腿骨の先の部分への血液が供給されなくなり、壊死してしまうことで起こります。

なんとなく足をかばう、痛みで鳴く、足を挙げて歩く、かばって歩くことで左右の筋肉量に差が出るなど、1歳以下の小型犬で足に異常を感じたら、この病気を疑ってみる必要も出てきます!

6. 関節炎

年齢を重ねて老齢期に入ると、関節でクッションの役割を果たしている軟骨がすり減り、骨と骨がこすれあうことで炎症が起こり痛みが出てくる関節炎がかなり多くなります!

加齢の他には過度な運動や、肥満による関節への負担の増加によっても悪化することも!

放っておくと関節のこわばりがどんどん悪化して、関節の曲げ伸ばしができる角度が減ってしまうため、足の運びがぎこちなくなることも。

「年だからしょうがない」と見逃されがちですが、運動量の低下、よたよたと歩く、関節の曲げ伸ばしが辛そうといった痛みがある時には和らげてあげる工夫が必要です!

7. 椎間板ヘルニア

足の直接的な異常ではありませんが、歩き方に異常が生じる病気のひとつに、椎間板ヘルニアもあります!

今まで紹介した病気は足の骨や関節周囲の部分が原因の病気でしたが、これは首から腰に掛けての背中部分にある椎間板という背骨のクッション素材が飛び出し、脊髄神経へダメージを与えてしまう病気です!

神経は足の動かすこともつかさどっているので、麻痺として片足もしくは両足を引きずる、場合によっては完全に歩行できずに動けないという症状が現れます!

首・胸・腰など、どの部分で発生するかによって痛みや歩き方の症状は変わってきますが、ダックスフントなどの胴長の犬種に多い胸腰部で起こる時には、神経の麻痺により排泄もできなくなってしまうこともあるため、急いで対処する必要があります!

8. 悪性腫瘍

最後は悪性腫瘍

なかでも、足にできるものとして有名なのは骨肉腫です!

大型犬でよく発生することで知られ、腫瘍は成長するにつれて骨を破壊し、かなり強い痛みを伴います。

痛みから足をかばう、歩くことを嫌がって運動量が減る、足が腫れるといった症状が出ますが、最初はほとんど気づかずに急激な進行をして初めて気づかれることが多い病気でもあります。

人と同じく、悪性腫瘍は犬の死因のトップに名を連ねています。

予後はなかなか難しい病気ですが、早期発見し、治療の選択肢を増やすためには、ふだんの様子で見つけた違和感を見過ごさないことが大切です!

足の病気がある子へ・・・暮らしの工夫

足に病気を抱えていると、獣医さんから言われることが多いのが「足への負担を減らしてあげる」こと!

でも、いったいどうやったら足の負担を減らしてあげられるの?と疑問に思っている方も多いはず!

足への負担がかかる時はどんな時なのか、そして、お家でできる暮らしの工夫をお伝えします!

1. フローリングですべる

フローリングは足に負担をかけてはいけない愛犬にとっては、すべりやすく足への負荷がかかるため天敵!

汚れた時に掃除がしやすい床材として飼い主さんは楽ちんなのですが、愛犬にとってはケガや病気の悪化の元!

ふつうに歩く時だけでなく、駆け足で曲がろうとした時に踏ん張りがきかずこけてしまったりと、意外と犬の足には負担の元になります。

丸洗いできるジョイントマットや毛足の短いカーペットで愛犬の生活範囲をすべりにくくし、足裏の長い毛や、伸びた爪もこまめにカットして歩きやすくなるようケアしてあげましょう!

2. 高い所や段差の昇り降りが多い

自宅のソファーやベッド、階段などを昇り降りしている子は多いもの!
しかし降りる時の衝撃は、関節に負担をかけたり、骨折の危険が増したりと良いことはありません!

生活範囲からそういった場所を遠ざけるのが一番ですが、自宅に昇り降りが必要な場所がある場合は、段差を緩やかにするためにスロープを作ったり、段差の下にもう一段緩やかな踏み台やクッション材を置くなどの工夫をしてあげましょう!

3.肥満

肥満は万病のもとと言われていますが、体が重くなると体重を支える足にも大きな負担がかかります!

特に関節に病気を抱えている子であればなおさら、増えた体重分がぐっと関節にのしかかり、痛みが増してしまうことで運動しなくなる…運動量が減ることで再び体重増加、という悪循環が生まれてしまいます!

痛みがほとんど出ていない状態であれば、ふだんのごはんでカロリーコントロールをしっかり行いながら、お散歩で適度に運動し筋肉を維持することが足の病気を抱える子にとっては大切です!

 

最後に

いかがだったでしょうか?

足に異常が出る病気も代表的なものをご紹介しましたが、実はまだまだたくさんあります!

「あれ?何か変な動き・歩き方をしているな」と思ったら、早めに動物病院へ連れて行ってあげてくださいね!

以上、
「愛犬の足の異常から考えられる病気と症状!その対処法とは?一挙公開」でした!

本日もお読みいただきありがとうございました!

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